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墓じまいのあとのお骨の行方にみる時代の変化

メモリアルアドバイザー 砂田嘉寿子

▶5年前と改葬(お骨のお引越し)の内容はどう変わった?

墓じまいという言葉がメディアをにぎわす何十年も前から、改葬(かいそう/お墓、お骨の引っ越し)そのものは存在していましたが、たしかにここ数年は、そのお問合せやご相談もふくめ、その数は約5倍にふえています。

 

お墓を解体して墓地を更地にするという仕事内容はまったく変わらないのですが、一つだけ変化がみられるものがあります。それは改葬先の増加です。

上のグラフは、ここ2年間で実際にスナダ石材がおこなった、また相談が寄せられた改葬(墓じまい)のお骨の移動先(希望含む)の割合を表したものです。

これまでの改葬先は、100%の確立で県内外に建っている墓石でしたが、ここ数年で徐々に墓石以外の改葬先がふえています。そして注目していただきたいのが、同じ納骨堂や永代供養墓でも、寺院のそれでなく、とくに行政が運営している納骨堂へお骨を改葬している割合がふえていることです。

この大きな理由の一つに、富山市営の納骨堂の存在があります。

合葬する場合の費用面の負担が低いことが大きな要因だと思いますが、もう一つの特徴として、寺院の納骨堂や永代供養墓でなく行政を選ぶのは、寺院との縁を新たに結ぶことを避けたいという考えがあるように思われます。

 

墓じまいの理由の一つに、「子どもへの負担をなるたけかけたくない」というものがあるので、宗教観がうすい場合、わざわざ寺院と縁をつなぐことを選択しないケースが増えるのはとうぜんの結果といえます。

▶死の向こうに「何」を求めるかで変わるお骨の終着点

これまでは墓石以外に選択肢がなかった改葬先が、ここ10年ほどで格段に増え、寺院にも永代供養墓や納骨堂が増えてきています。また、散骨業者も増えてきているので、「墓じまい=散骨」というイメージを持っている方も少なくありません。

ただしここ数年の実際の事例としては、やはりお骨の行く先は別の地に建っている「墓石」がまだ半分近くを占めています。そして「散骨」を希望する方はごく一部であるという結果です。
改葬先の多様性は地域性が大きく絡んでくるので、地域により結果は異なると思いますが、現状はこのようになっています。

そして私たちがお墓じまいにたずさわるなかで見えてきたのは、お骨の改葬先の違いで死の向こうに求めるものが違うこと、そしてお骨に対しての考え方の違いです。

 

たとえば散骨を希望している方のご相談では、他の改葬先を希望している方と比べると、お骨への尊厳がうすいと感じられます。それ以外の改葬先が「納める」という行為であるのに対し、散骨は「撒く」になりますから、そこは他の改葬先に比べて、軽い行為になるのは否めません。
モノとしてみているのか、「処分」という言葉を使う方もおられ、私たちとの心の隔たりを実感することもあります。

 

そして納骨堂でも、行政が運営しているか、寺院の中にあるものかでも大きく違ってきます。

行政の納骨堂はあくまでも「お骨の収蔵先」が目的として運営されていますが、寺院のそれは「死者を永代にわたって供養する場」になっています。名称が同じなので、価格面と管理面でみると行政の納骨堂に比べ、寺院のものはどうしても分が悪くなるのですが、逆に、「安心して供養してもらえる」という点では行政と寺院では比較にならないでしょう。

 

参照:「お墓にあって行政運営の納骨堂にはないもの」

   「愛あふれる、富山の「墓じまい」」

▶まとめ

このように過去2年間の墓じまいの実績から、お骨の改葬先の変化をまとめてみてわかったことは、改葬先の多様化は、お骨に対する考え方の変化、そしてそこから見えてくるのは死後の考え方につながってくるということです。

そこで「それはけしからん!」というつもりはまったくありません。
ただ、「私ならどうしたいかな。どうするかな」と考えるきっかけになっているのは間違いありません。
そして、お墓じまいをした後のご自分の死後を考えるさいに、「自分はこうしてほしい」と考えるきっかけになるのであれば、ここにこの仕事の意義があるのかなと考えています。