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”墓じまい”で気をつけたい「5S」とは?

文:砂田嘉寿子

「3S(さんエス)」や「5S(ごエス)」といったキーワードを耳にしたことはありませんか。これは企業活動において作業効率を図るために徹底させたいこと、たとえば「整理・整頓・清掃」などを、その言葉の頭文字「S」でまとめたものです。

実は、墓じまいで起こるトラブルにも、頭文字がSから始まるものがあるのです。

▶「しんるい(親類)・しんぞく(親族)」間で起こりがちなトラブル

お墓をしまうにあたって行動を起こすのは、「お墓の承継者」になります。お墓の承継者とそのお墓にお参りに来る親類や親族が、遠く離れていて疎遠になっている場合に、実は墓じまいのトラブルが一番起こりやすくなっています。

 

他社での事例になりますが、県外に住むお墓の承継者が、墓がある地元の石材店に墓じまいの相談、そして見積もりをしていたところ、近くに住む親戚の方が、墓参りはもちろん、その墓の掃除などを被承継者(お墓の承継者の親)から頼まれていたというケースがありました。

 

被承継者(親)からすると、遠くに住む継承者(子)よりも、じっさいにお墓の近くに住んでいる自身の兄妹などに頼んでおいた方が良いだろうと考えて依頼承継していたのだと思われます。

また、そうして今までお墓を守っていた親戚の方からすれば、墓じまいは寝耳に水の話であり、またその被承継者の想いと、現在の承継者の考えとの相違にとまどいを感じます。

 

親戚や親族と物理的な距離があると、接点が少なくなり、疎遠になってしまいがちですが、お墓についての悩みや不安は、まず親類や親族に話してみることが、墓じまいでの最優先事項となることを念頭においてもらいたいと思います。

▶「しんこう(信仰)・しゅうは(宗派)」の違いで起こりがちなトラブル

墓じまいは、正式には「お墓(骨)の改葬」が通称ですが、今建っている墓石をしまいたい理由がお墓の老朽化ばかりとは限らず、「信仰する宗教が変わった」ため、墓じまいをするケースもあります。

そうなると、お寺の境内墓地に建っているお墓をしまい、あらたな移動先に改葬したいということが起こってきます。
日本は「信仰の自由」が保障されていますので、これ自体は当然、まったく問題になりません。

しかしそこから、お寺とのトラブルにつながったり、上述の親族間との話がからんでくると、ややこしい問題になってしまうことがあります。


ここはその方とその関係者との関係にもより、悪くすると亡き人をはさんでいざこざになってしまうこともある、とてもデリケートな部分ですが、もちろん問題なくスムーズに行えるケースもあります。
もしお寺から離壇するということになれば、そのための話し合いをする必要も出てくるでしょう。

▶墓じまいで忘れたくない「5つのS」

墓じまいで起こりがちなトラブルの2Sをあげましたが、こういったトラブルにつながらないためにできることが、前述の「3S活動」に含まれています。

「整理・整とん・清掃」

これは、墓石をきれいに片付けたり、お骨をまとめたりする意味での「整理・整とん・清掃」でもあり、お墓に関わってくる方や関係者との話し合いといった意味でもとらえることができます。

 

「整」や「理」の漢字の意味は、「すじ道をたてて、ととのえる」となります。


トラブルの発端は、ほとんどが人間関係のこじれから生まれますので、もし今後、そういったトラブルの芽が出てくる可能性があるなら、これを機会にお互いの考えを理解し合えるようにコミュニケーションをとっておくのが良いでしょう。

 

お墓があることでトラブルになると考えるのでなく、そこから新しいコミュニケーションを生み出すくらいの心積もりがあれば、気持ちよく墓じまいができるのではないかと思います。