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やっと「千の風」の歌の意味がわかりかけてきた

メモリアルアドバイザー 砂田嘉寿子

▶両親が建てたお墓をしまうという選択

今日いただいたお墓じまいのご相談は、隣県にあるお墓をしまおうと考えている70歳の女性からでした。

その方をAさまとさせていただきます。

Aさまは一人っ子で、富山でご結婚され、ご主人は二男さまで分家になりますが、ご自分たちのお墓はまだ持っておられません。

お子さま方は富山を離れて、それぞれお仕事でご活躍されており、一度「お父さんとお母さんのお墓はどうするの?」と聞かれたときに、ご主人と「私たちが骨になったら、あの墓(隣県にあるAさまの実家の墓)に入れてくれ」という話をされたことがあるそうです。

 

しかしAさまは元気なときに考え、動いておかなければと考えるようになり、今のお墓をしまって富山市の納骨堂にご両親とご先祖のお骨を納骨したいとお考えになりました。

そこでお子さま方にお話しされる前に、お墓じまいの流れや手続き、また墓前法要のことをご相談にみえられたのです。

 

お墓がある隣県はすでに生家もなく、お墓参りのために年に一度か二度、帰省したお子さま方とお墓参りに行っておられます。

古くなったご自分の生家の墓を遠く離れた地に住むお子さま方に守ってもらうことを考えると、いろいろ想うところがあったのでしょう。

▶お骨を合葬したあとは返還できない

ここで一つ気になることがあったのでお聞きしてみました。

 

「もし今後、富山でなくてもお子さまがお住まいの地で新しく自分たちのためのお墓を建てることになった場合、ご先祖のお骨は合葬してしまうと返還してもらうことはできないので、お子さま方にとってはご先祖さまとご両親のお骨は別々のところにあることになりますが、その点は大丈夫でしょうか」

富山市納骨堂
富山市納骨堂

Aさまはお骨の行く先として富山市納骨堂をお考えなのですが、お骨を合葬してしまうと返還してもらうことはできません。

富山市納骨堂の納骨方法は三種類あり、すぐに合葬せずに、数年間の段階を経て最終的は合葬してもらうこともできます。

実際に市営霊園の墓地が空くまでのつなぎとして納骨堂を利用される方も少なくないので、ご先祖さまのお骨は合葬し、ご本人さまご夫婦は個別の直接参拝壇、もしくは間接参拝壇に納骨してもらい、その後はお子さま方にゆだねたいとお考えでした。

▶お骨の埋葬場所と手を合わせる場所が違う両墓制が見直される可能性

こういったことをお話させていただきながら、ふと両墓制のことを思い出しました。

昔のある地域、そして今もわずかに残る地域がある両墓制。これは、詣り墓と埋め墓という二つの墓が存在することなのですが、ようするに埋葬されている場所と手を合わせ供養する場所が別々に存在するのです。

 

じっさいにお墓も祈りのカタチという手を合わせるための象徴的な存在であり、お骨のあるなし以上に、供養で一番大切なのはです。

 

「あの世に行ったときに親に怒られるのは私ですから(笑)」

とAさまは冗談めいておっしゃっていましたが、たしかに亡き人の声は浄土で再会したときまでわからないものです。しかし今生きている人が一番に想うのは、これからの人のこと、未来に想いを馳せるものです。

そして浄土でもしまた逢えるのなら、眠る場所が必ずしも一緒でなくても同じことなのかもしれません。

 

今日のお話しを終えてから「千の風」の歌詞がリフレインしました。あの歌が今やっと、しっくりときたような気がしています。